「歯くそ」の話
歯にもやもやと白い汚れがこびりつきます。テレビCMなどでおなじみの『歯垢』『プラーク』、つまり細菌の塊です。食べカスではありません。そうお伝えしても、いまひとつ子ども達の反応がぴんと来ないので、最近はあえて『歯くそ』という言葉を使うようにしています。
歯くそをたくさんつけているお子さんや親御さんにお話しを聞くと、
「磨きなさいと言ってもちゃちゃっとして真面目に磨かない」
「泣いて嫌がるのであまり磨けない」
「勉強が忙しいので短時間しか磨けない」
などと言われます。
そんな方には、具体的な磨き方をお伝えする前に、以下のようなお話をします。
これは『歯くそ』だよ。他に『くそ』のつくもの知ってる?そう、『鼻くそ』『目くそ』『耳くそ』『(おしりの)くそ』もあるね。みんな汚いものばっかりだよね。『歯くそ』も汚いもので、バイキンの塊なんだよ。バイキンの数はうんちと一緒ぐらいなんだよ。
さっき、なかなか歯が磨けないって言ってたけどさ、うんちしたあと適当におしりふいてたら、どうなるかな。パンツが汚れちゃうよね。歯くそが上手にとれてないと、どうだと思う?お口はご飯食べるところだよね。そう、たぶん歯くそも食べちゃうよね!!
お母さんがさ、「今日は忙しいから適当に洗ったよ〜」って汚れた食器に盛り付けて汚れたお箸で食べなさいって言ったらどうかな。そう、お腹こわすかもしれないし、だいたい気持ち悪いよね。じゃあ、せっかくきれいな食器にのったきれいなご飯を食べられるのに、歯くそたっぷりの歯で噛み砕いて食べるのはどうなんだろう?
きれいなお口でご飯を食べたら、美味しく食べられると思わない?歯を磨いて、歯くそがついてないお口にすると、すごく気持ちがいいよ。お風呂に入ったときみたいだよ。
先日、私たちが校医をつとめる小学校で、お話しをする機会をいただきました。『歯くそ』の話をしたり、ブラッシングの方法を伝えたところ、「わぁ、早く歯みがきしたい」「歯みがきが好きになりそう」と、嬉しい感想を聞けました。
どうして歯を磨くのかを理解してもらえていたら、少し大げさかもしれませんが、その子の人生は違ってくるのではないかと信じて、今日も子どもたちに接しています。
さて、大人のみなさん、この『歯くそ』の話、いかがでしたでしょうか?